下痢の原因 サルモネラ 感染症

サルモネラの予防は原因食品、特に食肉(牛・豚・鶏)および鶏卵の低温保存管理、食肉や卵は十分過熱することや、調理後は早めに食べるなどの汚染防止が基本です。

下痢の原因 サルモネラ 感染症

サルモネラ 感染症の原因菌は サルモネラ(Salmonella enterica )で、胃腸炎 をおこす 食中毒 の原因になります。
サルモネラ はグラム陰性の通性嫌気性桿菌で腸内細菌科に属し、周毛によって運動しますが、べん毛を欠く非運動性菌もあります。
一般に、サルモネラ の中で胃腸炎をおこす サルモネラ は亜種Iの菌種のみで、その他のサルモネラは非病原性菌とされています。サルモネラは自然界のあらゆるところに生息し、ペット、鳥類、爬虫類、両生類が保菌しています。とくに家畜(牛・豚・鶏)の腸管内では、常在菌として保菌していることが知られています。

臨床診断
サルモネラ感染症で、最も普通にみられるのは急性胃腸炎です。通常8〜48時間の潜伏期を経て発病しますが、最近のEnteritidis感染では3〜4日後の発病も珍しくありません。
症状はまず悪心および嘔吐で始まり、38度以上の発熱、数時間後に腹痛および下痢を起こします。下痢は1日数回から十数回の水様性下痢、血便で、3〜4日持続しますが、1週間以上に及ぶこともあります。小児では意識障害、痙攣および菌血症、高齢者では急性脱水症および菌血症を起こすなど重症化しやすく、回復も遅れる傾向があります。
検査所見では、炎症の程度に応じて白血球数、CRP等の炎症反応の増加が見られ、菌血症や胃腸炎でもトランスアミナーゼ(GOT・GPT)が上昇することがあります。確定診断は糞便、血液、穿刺液、リンパ液等より菌の検出を行います。

治療・予防
細菌性胃腸炎では、発熱と下痢による脱水の補正と腹痛など胃腸炎症状の緩和を中心に、対症療法を行うのが原則です。強力な止瀉薬は除菌を遅らせたり麻痺性イレウスを引き起こす危険があるので、使用しません。解熱剤はニューキノロン薬と併用禁忌のものがある上、脱水を悪化させる可能性があるので、できるだけ使用を避けます。
サルモネラの予防は原因食品、特に食肉(牛・豚・鶏)および鶏卵の低温保存管理、食肉や卵は十分過熱することや、調理後は早めに食べるなどの汚染防止が基本です。特に近年では鶏卵のサルモネラ汚染率が増加し、卵内にも菌が認められることがあるので注意が必要です。これまでに、卵焼きやオムレツ、手作りケーキやマヨネーズなどからもサルモネラ食中毒がおこっています。また、まな板、包丁、ふきんなどを清潔に保つことも重要です。低年齢層では、ペットおよび昆虫からの接触感染も無視することはできません。ペットに触れたあとは、よく手を洗いましょう。

▽下痢の原因 サルモネラ 感染症 のキーワード

▽次の記事、前の記事

下痢便の形状と原因となる細菌・ウイルス | 下痢の原因・腸炎ビブリオ感染症

下痢(げり)便秘(べんぴ)おなかSOSドットコム:新着記事

主な病原微生物性食中毒の症状と鑑別 2
低温で増殖するリステリア属、エルシニア属と並んで、真空パック内で増殖可能なので食品衛生の観点から重要な微生物です。
主な病原微生物性食中毒の症状と鑑別 1
食中毒の症状から原因食材や病原微生物を特定できる可能性があります。
食中毒の主な症状とよくある誤解
病原性微生物による食中毒の主な症状には以下のものがあります。
下痢とギランバレー症候群の関連
ウイルス感染や細菌感染などがきっかけとなって、本来は外敵から自分を守るためにある免疫のシステムが異常になり、自己の末梢神経を障害してしまう自己免疫であると考えられています
糞便移植療法 FMT
糞便移植療法(fecal microbiota transplantation:FMT)は、健常者の便を患者の腸内に投与することで患者の腸内フローラを正常化させることを目的とした治療法です。
感染症に対するプロバイオティクスの効果
プロバイオティクス(probiotics)は「十分な量が投与された場合、宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物」と定義されます。
大腸癌検診で癌が見つかり・・検査結果
便秘や痔、生理でなく2日とも便潜血が陽性だったら、早めに大腸内視鏡検査を受けるべきです。早期に見つかれば内視鏡的切除術で処置することができます。
大腸癌検診で癌が見つかり・・内視鏡検査
検査着に着かえます。お尻の部分に穴の開いた紙パンツとガウンのような検査着です。検査台の上に横向きに膝を抱えるような姿勢になります。
大腸癌検診で癌が見つかり・・
職場の健康診断で大腸癌検診(免疫学的便潜血2日法)で2日とも便潜血が陽性となりました。
プロバイオティクスの健康予防効果とは
プロバイオティクスは、「ヒトに健康効果をもたらす生きた微生物」と定義されます。ヒトの正常な腸内常在菌の維持と調節に重要な機能をもっており、さまざまな機能研究がなされています。

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint