便の観察で疾患・病態が予測できる?

便は消化吸収できなかった食物残渣や消化管の細胞・腸内細菌などで構成されていて、消化・吸収・腸の蠕動運動により、様々な形状を示します。

便の観察で疾患・病態が予測できる?

便は消化吸収できなかった食物残渣や消化管の細胞・腸内細菌などで構成されていて、消化・吸収・腸の蠕動運動により、様々な形状を示します。
色はステルコビリンで黄褐色を呈しますが、疾患によって白色や黒色となります。また血液や粘液が混入するため性状を観察することは重要です。
便の異常所見は血便と下痢・水様便に分けることができます。

・血便
1)鮮血便:赤色の便で腸管からの出血。O157などの感染で発熱や嘔吐、激しい腹痛を伴う。潜伏期間は3日くらいで溶血性尿毒素症症候群(HUS)など重症化することもある。
2)粘液+血液・イチゴゼリー状:血液と粘液物質が混じりあった便で、下痢を呈することもある。発熱・嘔吐・腹痛がある場合は、カンピロバクターや赤痢・サルモネラ・腸炎ビブリオなど細菌性の腸炎と赤痢アメーバ症を疑う。カンピロバクターやサルモネラは鶏肉などの生食、腸炎ビブリオは夏場の魚介類の生食によることが多い。
3)タール便:胃や十二指腸など上部消化管からの出血を示唆し、大量出血では黒色便となる。
4)血液付着便:下部消化管である大腸からの出血を示唆。直腸や結腸からの出血は、便が形成された後に付着する。血液付着便は大腸がんや潰瘍性大腸炎の他に痔でもみられる。

・下痢、水様便
1)軟便・泥状便:消化管の通過時間が短いため消化不良を起こす。海外渡航歴や食習慣によっては細菌性感染症や寄生虫症を疑う。
2)白色便:閉塞性黄疸を呈する疾患では、便中にビリルビンの還元生成物であるステルコビリンが存在しないため、便の色は白色を呈する。胃X線造影検査後のバリウム便も白色を呈する。
3)脂肪性水様便:黄白色で水様性や泥状を呈する。上腹部痛がみられる場合は、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)を疑う。
4)白色水様便:水様便(米のとぎ汁様)と嘔吐を伴う場合は、コレラ菌ロタウイルスによる感染性腸炎を疑う。クリプトスポリジウムによる原虫症も、急性期は同様の症状を呈する。

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