水様下痢 クリプトスポリジウム症

消化管の細胞に寄生して増殖し、そこで形成されたオーシストが糞便とともに体外に排出され感染源となります。

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水様下痢 クリプトスポリジウム症

クリプトスポリジウム(Cryptosporidium )はウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫として知られており、ヒトでの感染は1976年にはじめて報告されました。1980年代に入ってからは後天性免疫不全症候群(AIDS)での致死性下痢症の病原体として注目され、その後ほどなく、免疫機能の正常な人おいても水様下痢症の原因となることが明らかになりました。
クリプトスポリジウムは、胞子虫類に属し、腸管系に寄生する原虫で、環境中ではオーシストと呼ばれる嚢包体の形(4〜6μm)で存在し、増殖することはなく、オーシストがヒト、牛、ネコなど多種類の動物に経口的に摂取されると、消化管の細胞に寄生して増殖し、そこで形成されたオーシストが糞便とともに体外に排出され感染源となります。
症状
下痢(主に水様下痢)、腹痛、倦怠感、食欲低下、悪心などがあり、軽度の発熱を伴う例もあります。潜伏期間は3〜10日で、大多数の患者は9日以内に発症しています。下痢は1日数回程度から20回以上の激しいものまで多様で、数日から2〜3週間持続し、自然治癒します。
感染に対する抵抗力が低下しているHIV感染者等については重篤になります。重症例では、コレラにみられるような大量の水様便や失禁を伴うことが報告され、このような例では本感染症が直接死因となることがあります。一般に感染部位は小腸付近に限られますが、HIV感染者では胆嚢、胆管や呼吸器系への異所寄生報告されています。

検査と診断
検便でオーシストを検出します。 急性期の患者便のような多数のオーシストを含む試料であっても、オーシストはきわめて小さいために通常の顕微鏡観察では見落とされる危険があります。したがって、遠心沈殿法(MGL変法)やショ糖浮遊法により集オーシストを行い、蛍光抗体法、抗酸染色、ネガティブ染色などにより染色標本を作製して観察することが望まれます。もっとも高い検出感度の期待できる方法は蛍光抗体染色で、簡便な染色用キットが市販されています。また、糞便中のクリプトスポリジウム抗原をELISA法で検出する方法もあります。
治療
現在のところクリプトスポリジウムについての有効な治療薬は見つかっていません。下痢の程度が軽度である場合には、非特異的治療法である食餌制限、水・電解質の摂取(ORS:経口補水塩)を行います。これに加えて鎮痙剤、激しい下痢症例では止瀉剤が用いられることもあります。

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