家族性大腸腺腫症 家族性腺腫性ポリポーシス FAP

大腸に数百個に及ぶ腺腫性ポリープが発生し、放置すれば非常に高い頻度で癌化する常染色体優性の遺伝性疾患です。

家族性大腸腺腫症 家族性腺腫性ポリポーシス FAP

家族性腺腫性ポリポーシス(familial adenomatous polyposis: FAP)は、大腸に数百個に及ぶ腺腫性ポリープが発生し、放置すれば非常に高い頻度で癌化する常染色体優性の遺伝性疾患です。FAP患者のおよそ90%以上に、5番染色体長腕に座位するAPC(adenomatous polyposis coli)遺伝子の変異が認められます。
発症は平均16歳(7〜36歳)であり、35歳までには95%のFAP保因者にポリープが生じます。大腸切除術を行わない限り、大腸がんの発症は避けがたく、未治療の場合がん発症の平均年齢は39歳(34〜43歳)です。大腸以外の病変はさまざまで、胃底部や十二指腸のポリープ、骨腫、歯牙異常、網膜色素上皮の先天性肥大、軟部組織腫瘍、デスモイド腫瘍、そしてこれらに関連するがんなどが含まれます。
顎骨に発生する骨腫は消化管ポリポーシスの中でもFAPに特異的なものです。

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ジアルジア症 ランブル鞭毛虫

ジアルジア症は、Giardia lamblia(ランブル鞭毛虫とも呼ばれる) の感染によって引き起こされる下痢性疾患です。本症の感染経路はいわゆる糞口感染で、ヒトとヒトの接触や食品を介した小規模集団感染と、飲料水を介した大規模な集団感染が知られています。
現在、日本でのジアルジア感染者の多くは発展途上国からの帰国者(来日者)で、特にインド亜大陸からの帰国者での下痢症例で検出率が高くなっています。さらに、男性同性愛者間にも本原虫の感染がみられることがあり、HIV感染者に原虫が証明されます。
ジアルジア症は過去数十年間にわたって、日本では忘れ去られた感染症の1つでしたが、免疫不全者の感染、水系感染による集団発生事例などから、重要な再興感染症の1つとしての認識が必要となっています。

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水様下痢 クリプトスポリジウム症

クリプトスポリジウム(Cryptosporidium )はウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫として知られており、ヒトでの感染は1976年にはじめて報告されました。1980年代に入ってからは後天性免疫不全症候群(AIDS)での致死性下痢症の病原体として注目され、その後ほどなく、免疫機能の正常な人おいても水様下痢症の原因となることが明らかになりました。
クリプトスポリジウムは、胞子虫類に属し、腸管系に寄生する原虫で、環境中ではオーシストと呼ばれる嚢包体の形(4〜6μm)で存在し、増殖することはなく、オーシストがヒト、牛、ネコなど多種類の動物に経口的に摂取されると、消化管の細胞に寄生して増殖し、そこで形成されたオーシストが糞便とともに体外に排出され感染源となります。
症状
下痢(主に水様下痢)、腹痛、倦怠感、食欲低下、悪心などがあり、軽度の発熱を伴う例もあります。潜伏期間は3〜10日で、大多数の患者は9日以内に発症しています。下痢は1日数回程度から20回以上の激しいものまで多様で、数日から2〜3週間持続し、自然治癒します。
感染に対する抵抗力が低下しているHIV感染者等については重篤になります。重症例では、コレラにみられるような大量の水様便や失禁を伴うことが報告され、このような例では本感染症が直接死因となることがあります。一般に感染部位は小腸付近に限られますが、HIV感染者では胆嚢、胆管や呼吸器系への異所寄生報告されています。

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